従三位とはどんな位階?もらえる人の基準や正三位との違いを徹底解説
国家に多大な功績を残した政治家や文化人、各界の重鎮の訃報に際し、閣議決定のニュースで目にする機会が多い「従三位」。ニュース速報や新聞の社会面で見かけるものの、具体的にどのような功績があれば授与されるのか、その格式や実態について詳しく知る機会は多くありません。
古代律令制における「貴族(公卿)」の絶対的な分水嶺から、現代の栄典制度に至るまで、従三位は国家的な敬意を表す特別な位階として位置づけられています。本稿では、叙位令に基づく現代の運用基準から、正三位との決定的な格差、歴代受章者の傾向までを多角的な視点で詳細に解き明かします。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:従三位(じゅさんみ)は日本の位階制度における高位の格付けであり、古代から「上級貴族(公卿)」として扱われてきた歴史的重みを持つ。
- 要点2:現代では「叙位令」に基づき、国務大臣や最高裁判所判事、知事、長年国政を支えた重鎮などの「死亡叙位」を中心に運用されている。
- 要点3:特権や金銭的年金は一切存在しないものの、国家が個人の生涯にわたる公的功労に対して贈る最高水準の名誉的評価である。
【位階の基礎知識】従三位の正しい読み方と歴史的格式「公卿」の境界線
位階制度における従三位の読み方は「じゅさんみ」が正統です。日本の位階は、大宝律令(701年)や養老律令(718年)に端を発し、正一位から少初位下まで全30階に細かく区分されていました。その歴史において、従三位は政治の中枢を担う上級貴族である「公卿(くぎょう)」になれるかどうかの境界線として決定的な意味を持っていました。
古代の律令官位制において、正一位から従三位までの人物は「上達部(かんだちめ)」と呼ばれ、太政官の最高意思決定会議に参加する特権が与えられていました。四位以下の官人が実務を担う地下人(じげにん)にとどまったのに対し、従三位以上は宮中の紫宸殿に昇殿を許される本物の貴族階級でした。平家一門が栄華を誇った時代に平忠盛が武士として初めて昇殿を許され、やがて平清盛が従三位へと駆け上がった史実は、この位階が持つ権力と格式の象徴性を如実に物語っています。

現代の叙位基準|従三位はどんな功績を残した人物がもらえるのか?
明治維新を経て大正15年(1926年)に制定された「叙位令」が、現代の栄典制度における位階運用の法的基盤となっています。日本国憲法第14条が定める「華族その他の貴族の制度の禁止」および「栄典の授与に伴う特権の否定」により、生前に位階を授与する制度は一時停止され、現在は故人の生涯の功績を称える「死亡叙位(しぼうじょい)」が運用の中心です。
現代において従三位の対象者となる人物には、内閣府賞勲局の内規や長年の慣例に基づいた明確な叙位基準が存在します。具体的には、以下のような公的職責を長年全うした人物が閣議決定を経て叙位されます。
国家統治の中枢に関わった国務大臣(閣僚)経験者をはじめ、司法の最高峰である最高裁判所判事、地方自治の舵取りを担った主要都道府県知事、長年にわたり国政の発展に寄与した衆議院・参議院議員などが主な対象です。また、学術・文化・産業の分野で旭日大綬章や瑞宝大綬章を受章するクラスの功績を挙げた人物に対しても、その死後に従三位が追贈されるケースが定着しています。
【比較データで検証】従三位と正三位の決定的な違いと歴代首相の実績
位階の序列において、従三位の直上に位置するのが「正三位(しょうさんみ)」です。わずか一階の違いに見えますが、現代の栄典実務においては政治的・社会的な責任の重みにおいて明確な一線が画されています。
| 項目 | 従三位(じゅさんみ) | 正三位(しょうさんみ) | 栄典制度における位置づけ |
|---|---|---|---|
| 主な対象役職 | 国務大臣、最高裁判所判事、都道府県知事、叙勲大綬章受章者 | 内閣総理大臣(短期・通常期)、衆参両院議長、最高裁判所長官 | 三権の長か閣僚級かの明確な職責格差 |
| 歴代首相の事例 | 短期間の在任にとどまった首相経験者、重要閣僚 | 羽田孜氏、森喜朗氏(生前叙位慣例除く追贈例など多数) | 首相経験者は原則として正三位以上が標準 |
| 対応する勲章 | 旭日大綬章、瑞宝大綬章、旭日重光章クラス | 桐花大綬章、旭日大綬章の筆頭格 | 勲章の序列と緊密に連動して審査される |
| 歴史的官職 | 権中納言、参議、近衛中将など | 中納言、左右近衛大将など | 律令制下でも議政官としての序列に差が存在 |
歴代の内閣総理大臣経験者は、その功績に応じて正三位や従二位、正二位などに叙されるのが一般的な通例です。長期政権を担った首相や歴史的な外交課題を解決した指導者には従二位や大勲位菊花大綬章が授与される一方、在任期間が比較的短かった閣僚級重鎮や副総理格の政治家に対しては従三位が授与されることが多く、国家統治におけるリーダーシップの規模と年数が反映されています。

特権や年金はある?知られざる死亡叙位の真実とネットの誤解を是正
ネット上の掲示板やSNSでは、「従三位をもらうと遺族に年金が入る」「特別な公的優遇措置が与えられる」といった噂が散見されますが、これらは完全に誤った俗説です。
前述の通り、現行の日本国憲法第14条第3項には「栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない」と明確に規定されています。戦前の旧憲法下では爵位や位階に伴う恩給・宮中席次などの実質的な特権が存在していましたが、現行法制下においては、金銭の給与、非課税枠の付与、遺族年金の上乗せなどは一切ありません。
死亡叙位の実際の手続きは、故人が逝去した直後、関係省庁から内閣府賞勲局へ上申書が提出され、内閣総理大臣が議長を務める閣議で正式決定されます。その後、天皇陛下の裁可(親裁・御署名)を経て位記(いき)と呼ばれる公式な証書が遺族へ交付されます。位階は物質的な対価ではなく、生涯を公に捧げた人物に対する「国家による無形の最高栄誉」なのです。
【実態検証】関係者の証言と現場目線で見えた受章の重み
公務員組織や自治体関係者の証言によると、位階の授与は故人の遺族や後援組織、出身官庁にとって計り知れない心理的・道義的意義を持っています。自治体幹部や受章者遺族の手記などでは、位記が届く瞬間について「故人が生涯を通じて公務に傾けた執念と自己犠牲が、国家の公的記録として永久に刻まれた安堵感がある」と語られています。
長期間にわたり地方議会や行政、法曹界の第一線で激務をこなした人物の家庭では、私生活を削って国や地域に尽くした歴史が往々にして存在します。金銭的利益が皆無であっても、閣議決定を経て皇室から授けられる位階は、家族にとっても故人の歩みを肯定する決定的な支えとして受け止められています。
【プロの結論】栄典制度から読み解く社会的評価の本質と教訓
社会制度の観点から見ると、従三位をはじめとする位階制度は、短期的な世論の評価や経済的損益を超えた「長期的な公的献身に対する評価軸」として機能しています。民間ビジネスにおける年収や資産額といった市場主義的指標とは対照的に、公共の利益のためにどれだけの責任を引き受けたかを計る物差しです。
現代を生きる私たちがこの制度から得るべき教訓は、目に見える即時的な報酬だけでなく、他者や社会基盤を支える持続的な貢献がいかに尊ばれるかという点にあります。栄典制度の存在は、社会がどのような行動規範を後世に継承すべきかを示す道標となっています。

【従三位とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:従三位と正三位ではどちらが偉いのですか?
A1:位階制度の序列では「正三位(しょうさんみ)」が上であり、「従三位(じゅさんみ)」はその一つ下に位置します。同じ「三位」であっても、三権の長(首相・衆参議長・最高裁長官)経験者には正三位以上、国務大臣や知事経験者には従三位が授与されることが多く、明確な格差が設けられています。
Q2:一般の民間人でも従三位をもらうことはできますか?
A2:極めて異例ですが、学術・芸術・産業分野で世界的な業績を残し、文化勲章や旭日大綬章を受章した民間人であれば授与される可能性があります。ただし、基本的には国家や地方自治体の公職を長年務めた人物が対象の中心です。
Q3:生前に従三位をもらうことはできないのですか?
A3:現代の栄典制度では、生存者に対する位階の授与(生前叙位)は原則として停止されています。そのため、功績のあった人物が亡くなった際に、その生涯の活動を総合的に審査して授与する「死亡叙位」として行われます。
まとめ:受け継がれる栄典制度の重みと歴史的価値
「従三位」は、飛鳥・奈良の時代から1300年以上にわたり国家の最高意思決定層を象徴してきた歴史的な位階です。現代においては、特権や年金を伴わない名誉制度へと姿を変えつつも、国務大臣や最高裁判事など、国家と社会の根幹を支えた重鎮たちの生涯の功労を称える最高の敬意として受け継がれています。
ニュースなどで従三位叙位の報に触れた際は、その人物がどのような職責を担い、社会基盤の発展にどのような足跡を残したのか、その歴史的背景とともに注目してみると、日本の栄典制度の奥深さがより鮮明に見えてくるはずです。 (出典: 従 三 位 と は(Yahoo!ニュース))